
中国語(特に標準語である普通話、または北京語)は、単音節の言語的特徴を持つため、音韻論は音節を中心に展開されます。
1. 音節構造
中国語の音節は以下のような構成要素を持っています:
(声母) + (介母) + 韻母 + 声調
• 声母(shēngmǔ): 音節の初めに現れる子音。
• 介母(jièmǔ): 韻母の前に来る半母音(i, u, ü のような音)。
• 韻母(yùnmǔ): 音節の核となる部分、母音や母音+鼻音。
• 声調(shēngdiào): 音の高さや抑揚を示し、語彙の意味を区別する要素。
例:
音節「mā」では:
• 声母: m
• 韻母: a
• 声調: 第1声(高平調)
2. 声母
声母は23種類あり、中国語音節の冒頭に置かれます。調音点と調音法に基づき分類されます。
主要な声母の分類
• 唇子音: [b], [p], [m], [f]
• 歯茎子音: [d], [t], [n], [l]
• そり舌子音: [zh], [ch], [sh], [r]
• 硬口蓋子音: [j], [q], [x]
• 軟口蓋子音: [g], [k], [h]
• 歯茎後子音: [z], [c], [s]
• 半母音: [j], [w]
3. 韻母
韻母は音節の中核部分を構成し、39種類存在します。母音を中心に構成され、場合によっては鼻音や半母音が伴います。
教科書の韻母の分類24
1. 単母音(1つの母音のみ): a, o, e, i, u, ü
2. 複合母音(2つ以上の母音を含む): ai, ei, ui, ao, ou, iu, ie, üe, er
3. 前鼻母音(末尾に鼻音がある): an, en, in, un, ün
4. 後鼻母音: ang, eng, ing, ong
4. 声調
中国語の声調は意味を区別するための重要な要素です。普通話には4つの声調と1つの軽声(neutral tone)があります。
1. 第1声(高平調): 高く平らな音 例: 妈 (mā)
2. 第2声(上昇調): 低い位置から上昇する音 例: 麻 (má)
3. 第3声(降昇調): 一旦下がってから少し上がる音 例: 马 (mǎ)
4. 第4声(下降調): 高い位置から急降下する音 例: 骂 (mà)
5. 軽声(neutral tone): 声調がほとんどなく軽く発音される。例: 妈妈 (māma)
声調は同じ音節でも異なる声調を使うことで全く異なる意味を持つようになります。
5. 音韻的特徴
連続音変化(連音変化)
隣接する音の影響で発音が変わる現象です。
• 三声変調:
第3声が連続する場合、最初の第3声が第2声に変わります。
例: 你好 (nǐ hǎo) → [ní hǎo]
• 一不変調:
「一」(yī)と「不」(bù)の発音は、後続の声調によって変化します。
例: 一百 (yībǎi) → [yìbǎi]
軽声化
軽声は、通常の声調が省略され、短く弱く発音されます。
• 例: 爸爸 (bàba)
6. 母音調和と音の変化
中国語の音節は母音調和の規則に従います。特定の母音が介母と調和することで音が滑らかになります。
• 例: [ü] は、[j], [q], [x] の後では「yu」のように発音されます。